あらすじ
~登場人物の紹介とあらすじ~
i)登場人物の紹介
メラン
王立配達学院の女子学生。少々気取っていて計算が苦手。「この仕事は向いてない」と第七梱包施設への配属を嘆くが、他人の成功を心から喜べる。荷物に残った強い感情から、過去の景色を断片的に感じ取る力を持つ。
エア
食べ物を「ただの荷物」として扱うことを嫌う少女。責任感が強く、失敗から学んで成長できる。食品の保存と梱包を担当する。
ヴィルジ
人間不信で、簡単には他人を信用しない少女。それでも自分の価値観を曲げず、物事を大きな視点から捉える。配送記録に隠された不自然さを最初に見抜く。
カシー
節約志向で安定を好む青年。包装紙一枚も無駄にしない一方、貴族にも辺境の住民にも公平であるべきだと考えている。輸送費や資材の数字から配送の不正へ迫る。
タダス
正確さを重視し、他人とは一定の距離を保つ青年。重量、料金、帳簿、経路の照合を担う。計算に弱いメランとは正反対だが、二人は次第に最も息の合う仕事仲間になっていく。
レアハ
明るく外向的で、感謝を必ず言葉にする少女。その人柄によって御者、商人、住民たちとの縁をつなぎ、記録だけでは見つけられない手掛かりを集める。
ii)あらすじ
華やかな王宮便への配属を夢見ていた王立配達学院の学生メラン。
ところが卒業前の実地研修で配属されたのは、破損品や宛先不明品ばかりが集められる第七梱包施設だった。
埃まみれの倉庫。苦手な重量計算。そして、一癖も二癖もある五人の学生たち。
思わず漏らした言葉は、
「私、この仕事は向いてないと思うの」
そんなメランが倉庫の奥で見つけたのは、十三年間も届けられずにいた一つの小箱だった。
中には傷のある金剛石と、二枚の紙片。
『君の瞳に映る空』
『もう一度逢えるなら、同じ空を見たい』
箱に触れたメランの脳裏に浮かんだのは、青空と白い塔、そして泣いている少女の姿だった。
この荷物は、本当に「届けられなかった」のか。
それとも――誰かが意図的に「届けなかった」のか。
メランの感応。
エアの梱包技術。
ヴィルジの洞察。
カシーの費用計算。
タダスの正確な照合。
レアハが結ぶ人との縁。
一人では何も解決できなかった六人は、一箱の荷物を追ううち、十三年間隠されてきた配送記録の不正へ近づいていく。
最初は同じ場所へ押し込められただけだった六人。
やがて、自分にできないことを誰かへ任せ、誰かにできないことを自分が引き受けられるようになっていく。
十三年前に止まった一箱を、今度こそ届けるために。
これは、「向いていない」と思っていた仕事の中で、メランが一生一緒に働きたい五人を見つける物語。