あらすじ
王族の婚礼が結ばれるたび、国境線が動く国・アルヴェリア。
地図師見習いのナディアは、王子との婚礼を祝う式典で、故郷の灰河村を真っ二つにする赤い国境線を見つけた。しかも、その線を正しいと証明する証人欄には、すでに失踪した母の名前がある。
「この署名は、私の故郷を売るためのものです」
婚礼を拒んだナディアは反逆者として追われる。そこへ、冷たいと噂される第二王子ルカスが現れた。
「君を妻にはしない。君を、私の証人にする」
二人が結んだのは愛の契約ではなく、地図の改ざんを確かめる期限付き証人契約。水路、街道、墓地、放牧地――暮らしの場所を一つずつ測り直す旅の先で、地図にない第五地域が姿を現す。
国境を動かすのは王の血か、それとも、そこに生きる人々の選択か。