あらすじ
不良の千夜保は、涙を流すと周囲の人の心が読めてしまう呪いにかかっていた。だから彼は、決して泣かないと決めていた。
ある雨の夜、川沿いのベンチで一人座っていた千夜のもとに、秀才の親友・鈴木航、子供っぽい先輩・山村凌、そして彼女の諸橋香澄が集まってくる。心配そうに寄り添う三人の姿に、千夜の心は揺らぎ、ついに涙が一筋こぼれた。
その瞬間、三人の想いが堰を切ったように流れ込む。航の静かな執着、凌の無邪気な独占欲、香澄の深い愛情——全部が、千夜を締めつける。
「泣いたら、全部わかっちまうから」と顔を背ける千夜に、三人は雨の中で静かに告げる。心が読めてしまっても、それでもここにいる、と。
呪いを背負ったまま、千夜は今夜だけは逃げずに、彼らの心の声を受け止めるのだった。