あらすじ
メンズ地下アイドルの現場に通い始めた私はステージの上の男の子たちとファンの距離が近いのだと思っていた。
しかし通ううちにそれが本当の親しさではなく,そう思わせるための巧みな演出なのだと知っていく。
ライブ後の特典会では,ほんの十数秒の会話や撮影のために女の子たちが金を積み,認知や特別扱いを求めて互いを値踏みし,傷つけ合っていた。
匿名掲示板では目立つファンが次々に晒され,噂と悪意で解体されていく。
誰もが被害者の顔をしながら誰かが先に壊れていくのを見て安心していた。
やがて推しの決定的な流出画像をきっかけに界隈は腐りはじめる。
それでも私は現場を離れられなかった。
推しに会いたいからではなく自分より先に沈んでいく女の子たちを見ていたかった。
これは優しさのふりをした搾取の場所で,他人の破滅を覗き込みながら自分の醜さにも呑まれていく一人の女の告白。