あらすじ

猛暑が落ち着き、秋の気配が混ざり始めた九月の雨の日。
主人公・水野瑛(みずの・えい)は、亡き夫・雄大(ゆうだい)の三回忌法要を終えた。

この春から県外の大学へ進学し、一人暮らしを始めた息子の結人(ゆいと)を駅まで見送り、静まり返った古いアパートへ一人帰宅した瑛。息子の靴も消え、雨の音だけが響く部屋で、瑛はふと「夫の声」が思い出せなくなっている自分に気づき、激しい寂しさと恐怖に襲われる。

あんなに愛し、毎日体温を感じていたはずなのに、時間が経つにつれて雄大の存在が少しずつ「過去の綺麗な思い出」へと変わっていく――。

遺影の前で一人佇みながら、瑛は彼と初めて出会った高校時代の雨の日を思い出す。
オメガと判明し、優秀なアルファの弟ばかりを偏愛する両親から見捨てられて荒れていた自分に、「俺のマネージャーになってそばにいてほしい」と真っ直ぐに手を差し伸べてくれたのが、一つ年下の特待生・雄大だった。

あの日から二人で駆け抜けた眩しい青春と、深めてきた愛。
止まってしまった時間の中で、瑛の「最後の恋」のあとの、静かで切ない日々が幕を開ける。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
アルファポリス
アルファポリス2026/08/14
  • 現在の作品雨のち、最後の恋