あらすじ
魔王アルヴァスの統治は666年を数え、魔界全土にはもはや揺るがぬ秩序が確立されていた。七魔将軍は軍団を率い、四大魔獣は力の象徴として君臨し、直属親衛隊「衛魔隊」は影の任務を完遂し続けている。磐石の支配体制。そこには、もう波乱の入り込む余地などないはずだった。
――だが、玉座から発せられた魔王のたった一言が、すべてを変えた。
「退屈だ」
魔王の気紛れから始まった、前代未聞の武闘大会。衛魔隊十二分隊の精鋭60名から選び抜かれた32名が、権能全開・武技解禁・死亡すら許容される極限のルールのもと、最強の「個」の称号を賭けて激突する。舞台は大魔宮殿の地下に眠る特殊闘技場「永久闘蔵」。虚無鉱石で造られた難攻不落の闘技場が、天災級の戦士たちの激突に悲鳴を上げる。
権能を持たず「理外の武具」のみで戦う万能の戦術家。敵の感覚すべてを奪う概念の支配者。惑星と一体化する不動の要塞。大地ごと砕く太古の巨人王。――彼らの戦いは、もはや武闘ではなく、神話の再演であった。
七魔将軍が特等席で舌を巻き、十二人の隊長が自らの部下の真価を見届け、数十万の魔族が熱狂と恐怖に震える中、魔王はただ静かに、自ら育てた最強の刃たちの輝きを眺めている。これは、退屈を持て余した絶対王の余興にして、魔界の歴史に血文字で刻まれる、最強の「個」の物語である。