あらすじ
妹の婚礼茶会で客が次々席を立ったそうですが、もう無料では茶葉を選びません――私の味覚を「貧乏くさい」と笑った元婚約者には、冷めたお茶すら差し上げません
「お茶を淹れるしか能がない退屈な女」
そう婚約者に笑われ、妹との婚約を発表された伯爵令嬢ミレジーヌ。
それでも父と元婚約者は、妹の婚礼茶会に必要な茶葉選びと当日の運営だけは、彼女に無償で続けさせようとした。
けれどミレジーヌは茶葉目録を返し、もう自分の味覚も時間も無料では差し出さないと告げて家を出る。
王宮で彼女を待っていたのは、不眠に悩む王妃と、「飲めば眠れる」という薬を嫌う第一王子アルシードだった。
茶葉、水質、湯温、抽出時間、体調、そして飲む本人の希望。
眠りを強制するのではなく、休んでもよい夜を一杯のお茶で整えていくミレジーヌ。その技能はやがて正式な専門職として認められ、彼女は給金も権限も持つ宮廷茶師に任命される。
そして眠れない夜を共に過ごすうち、アルシードは彼女自身を求めるようになり――。
「君の一杯も、君自身も手放したくない。だが、選ぶのは君だ」
一方、技能を軽んじた元婚約者たちは、高価な茶葉さえ用意すれば成功すると信じ、妹の婚礼茶会を迎えていた。
無償の給仕係だった令嬢が宮廷茶師となり、仕事も恋も手放さず幸せをつかむ、お茶×婚約破棄×溺愛の逆転恋愛ストーリー。