あらすじ
東北地方財界を長く支えてきた名家・薬師堂家。
その若き当主にして薬師堂グループ代表・薬師堂槙(やくしどう まき)が急逝した。
遺されたのは、広大な屋敷、土地、会社、莫大な資産――そして、一通の遺言書。
「本遺言書執行のため、一名を執行管理者として指名する」
その名は嘉内透(かない とおる)
血縁者でも相続人でもない、
六年前に人材紹介所から派遣されてきた、ただの槙の秘書だった。
なぜ槙は家族ではなく自身の秘書を選んだのか。
本人すらその真意を知らないまま、その最後の命令によって薬師堂家へ繋ぎ止められることになる。
東京で築いたキャリアを捨て、兄の跡を継いで会社を守ろうとする次男・柊(しゅう)。
京都で医師として生きていくため、家にも会社にも縛られず自分の人生を選ぼうとする三男・樹(いつき)。
二年前に亡くした妻であり薬師堂家長女・梓との間に遺された幼い娘を育てながら、娘の将来と現在の暮らしを守ろうとする婿・陽仁(はるひと)。
守りたいものも、欲しいものも、それぞれ違う。
三人は時に反発し、時に嘉内を味方へ引き込みながら、財産と薬師堂家の行く末を巡って対立していく。 しかし、遺産を紐解くほどに浮かび上がってくるのは、誰もが知っていたはずの男の誰も知らない顔だった。
死んだ当主の遺言から始まる、本格旧家遺産相続ミステリー 主人公総攻めBL。