あらすじ
前世では、三十歳にして複数の会社を経営する青年実業家。
金も名声も女も手に入れ、自信だけなら人一倍あった。
ところが不慮の事故で死亡し、剣と魔法の異世界へ転生。
顔も同じ。
身長も同じ。
頭脳も商才もそのまま。
ただ一つ。
男としてもっとも自信を持っていた部分だけが、きっちり半分になっていた。
「……待て。これは何かの間違いだろ」
何度測っても変わらない。
かつて大胆不敵だった男は、女性と目を合わせることすら妙に怖くなってしまう。
しかし、この世界には魔法がある。
錬金術もある。
ならば戻せるかもしれない。
必要なのは研究資金。
男は失われた威厳を取り戻すため、異世界で再び商売を始める。
捨てられていたスライムから足の痛みを軽くする中敷きを。
風呂に入れない冒険者には、水を使わない洗髪粉を。
錆びて捨てられる武器には、防錆オイルを。
本人の目的は、どこまでも不純。
なのに商売をするたび、困っていた誰かが少しだけ幸せになっていく。
そして本人だけが気づかない。
女性たちが見始めているのは、彼が一番気にしている「大きさ」とは、まったく別のものだということに。