あらすじ

先に言っておきます。これは忠告です。 私は山の中の空き家で、一冊の本を拾いました。十年、誰も入らなかった家です。埃の上に足跡はひとつもなく、それなのに本には、刷りたてのインクの匂いがしました。 『小さな主権の書』。著者はいません。いない、ということが、あとで世界の問題になります。 私は写して、注を付けて、無料で全部、ブログに公開しました。読者は長いあいだ、世界にひとりでした。 いまは違います。 他国の学者が、誰が書いたのかを調べています。東京の会社が「小さな主権」を商標にしました。台湾では、題名の訳し方ひとつで眠れなくなった人がいます。そして先月、知らない男が配信で、この村の名前を口にしました。 私は、写しただけです。 どうしてこうなったのか。 その答えを、私はいちばん最後に知りました。あの本は、拾われるのを待っていたのではありません。 2088年から、届いていたんです。 宛先に、心当たりはありますか。 あなたです。 全30話・完結済み。月水金20時更新。本作はフィクションです。

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カクヨム
カクヨム2026/08/14
  • 現在の作品2088年からの手紙 [sic]