あらすじ
伯爵令嬢リネットは、幼い頃から家の工房で魔法インクを作り続けてきた。
妹マリエルが“天才魔術師”として使う杖も、商会で売られる優秀なインクも、本当に調整していたのはリネット。けれど、その功績はすべて妹や家族のものにされていた。
それでも家のために働いてきた彼女だったが、ついには婚約者まで妹に奪われてしまう。
そのうえ父から、これからも妹のためにインクを作れと命じられ――。
「婚約者も功績も差し上げます。でも、私の技術は差し上げません」
家を出たリネットは、遠く離れた辺境で小さな魔法インク工房を開くことに。
消えた魔導書を蘇らせ、壊れた結界を修復し、生活を便利にする新しいインクまで次々と生み出していく。
そして、彼女の仕事を正当に評価してくれる辺境伯ルーカスとも出会い――。
一方、リネットを失った実家では、妹の魔法も商会の商品も少しずつ上手くいかなくなっていて……。
「インクを混ぜているだけ」と嘲笑された令嬢が、辺境で本当の価値を認められて幸せになっていく物語。