あらすじ
「過去は、五分間だけ覗ける」――高槻玲司と深山透、二人だけの秘密の装置"カコカン"。使い方さえ間違えなければ、ただの好奇心を満たす道具のはずだった。
三十年以上前、幼い子供二人が誘拐され、一人の男が死刑囚となった事件。透が持ち込んだこの"深山事件"を、二人はカコカンで検証しはじめる。だが調べるほどに証拠は食い違い、被害者の輪郭さえ崩れていく。
やがて二人がたどり着くのは、想像もしなかった真実――そこにあったのは、犯人どころか、事件そのものが存在しなかったという事実だった。
真実を知ってしまった二人を待つのは、後戻りできない選択。――そこにいたのは、悪人だったのか。それとも、どこにでもいる普通の人間だったのか。
【登場人物】
**高槻玲司(たかつき れいじ)**
都大法学部の大学生。冷静で理屈っぽく、何事も筋道を立てて考えるタイプ。犯罪や法律の知識に詳しく、透の突拍子もない言動にはいつもツッコミを入れている。透とは五年近い付き合いの親友で、彼が開発した「過去観測装置」の名付け親。
**深山透(みやま とおる)**
都大工学部の大学生。五分間だけ過去を見ることのできる装置「カコカン」を開発した発明家。技術力は天才的だが、思いついたことをそのまま口にする奔放な性格で、発明品のネーミングセンスは壊滅的。玲司とは五年近い付き合いの親友。