あらすじ

ブレーグ=コガル王導国。 竜が、鬼が、蟲が、精霊が、人が、ひとつの卓を囲む多種族の国。 その頂点に座す元首の名を、ラワルという。 式典では言葉を発さず、合議では決定を告げず、使節の前では表情ひとつ変えない。 組織の誰もが、その沈黙を深遠な意思の表れとして受け取っている。 ――俺は、ただ座っていただけなんだが。 かつて日本で、企業のリスク管理と顧客対応に追われていた男。 断らず、否定せず、波風を立てない。それが仕事だった。 夜道で意識が途切れ、次に目を覚ましたのは見知らぬ山の中。 人ではない何かに変わり果てた体で、男は名を問われ、こう答えた。 「名はない」と。 その一言が、固有名詞として受け取られた。 拾い、流入し、屈服させ、気づけば国ができていた。 誰も虚偽を述べていない。誰も裏切っていない。 それでも、報告される数字は実態と合わず、記された条文は意図とずれていく。 どこで判断を誤ったのか。 男は、いまだにそれを特定できずにいる。

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小説を読もう2026/08/14
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