あらすじ
十三歳の薬師リュゼの師が、何者かに毒殺された。
師であり育ての親でもあったテウ・アジラタ。
その亡骸が握りしめていたのは、彼ほどの薬師さえ見抜けなかった正体不明の毒だった。
直前に小屋を訪れた白衣の人物。
事件を隠蔽するかのように現れた帝国兵。
師を殺した者を突き止めるため、リュゼは白衣の人物を追って王都を目指す。
旅の途中で出会ったのは、勝ち気な女戦士ユーイと、仮面を被った謎多き魔法使いシーガルト。
剣の腕もなければ、強大な攻撃魔法も使えない。
リュゼの武器は、師から叩き込まれた薬学の知識。
毒を調合し、魔物の生態を読み、時には敵の魔法すら利用して格上の敵を退けていく。
だが、師の死を追う三人の前に浮かび上がってきたのは、十余年前から人々を生ける屍へ変えている奇病〈縹痘〉と、百年前に封じられたはずの魔王の影だった。
一人の薬師を殺したのは、いったい誰なのか。
師が命と引き換えに遺した毒は、何を意味するのか。
少年薬師の復讐の旅は、やがて帝国を覆う巨大な陰謀へと繋がっていく。
――これは、剣ではなく「薬」で魔王に挑む、一人の薬師の物語。