あらすじ
繁華街の外れにある、小さなゲームBAR《Re:play》。
店長の雨宮ミナ、32歳。
安い給料。少ない休み。報われない仕事。
毎日のように「もう辞めよう」と思いながら、それでも彼女は今夜もカウンターに立っている。
そんな《Re:play》には、スタッフさえ説明できない奇妙な噂があった。
午前零時を過ぎたころ。
人生に迷った人間の前にだけ、
「選ばなかった人生」を見ることができるゲーム
が現れるという。
あの日、告白していたら。
あの会社を辞めていたら。
夢を諦めなかったら。
別れを選ばなかったら。
プレイヤーは一度だけ、もうひとつの人生を見ることができる。
ただし――
ゲームが終わっても、過去を変えることはできない。
それでも人々はゲームを終えると、それぞれの答えを胸に店を出ていく。
ミナはずっと、そんな客たちを送り出す側だった。
ところがある夜。
閉店後の誰もいないテーブルに、一枚のカードが置かれていた。
そこにはこう書かれていた。
《雨宮ミナが、この店を辞めた世界》
これは、人生に迷った人々が集まる奇妙なBARと、
自分の人生だけは選べなくなってしまった、一人の店長の物語。