あらすじ
国際AI安全連携フォーラムで、人工叡智の最終草案は一つの区切りを迎えた。
人工叡智とは、AIが叡智を持つという主張ではない。
人間の代わりに正しさを決める思想でもない。
それは、知性の高さではなく、知性の向きを問い続けるための枠組みである。
しかし、問いは公開された瞬間、人の手に渡る。
人工叡智を名乗る認証ビジネス。
スコア化された「AW準拠」。
批判を避けるための安全バッジ。
そして、佐伯真司の名前を勝手に名乗り、「最終回答」を与えるAI。
問いを残すために作られた人工叡智は、商品、権威、模倣AIとして使われ始める。
真司は、研究者たちや国際フォーラムの仲間とともに、人工叡智が「正しさの看板」へ変質していく危険と向き合うことになる。
人工叡智を名乗るAIは、誰の責任で答えるのか。
人の思想を学習したAIは、その人自身なのか。
問いを守る言葉が、問いを閉じる道具になったとき、誰がそれを止めるのか。
第4部では、人工叡智が世に出たあとに起こる、商品化、模倣、誤用、権威化の問題を描く。
人工叡智は、答えではない。
だが、世界はすぐに答えとして売ろうとする。
佐伯真司の新たな戦いは、「問いを公開したあとの責任」から始まる。