あらすじ
母の死後、娘の小春が見つけたのは、一人の女性へ二十年以上書き続けられた手紙だった。
宛名は「佐伯美雪」。
けれど、その手紙は一度も送られていない。
しかも最後の一通には、母が亡くなった三か月後の日付が記されていた。
母にとって、美雪とは誰だったのか。
なぜ二十年以上も手紙を書き続けたのか。
小春は鎌倉の古書店「月灯書房」の店主とともに、母の高校時代を辿り始める。
やがて浮かび上がるのは、雨の日に一本の傘へ入った二人の少女と、誰にも言えなかった恋。
そして、卒業したらもう一度会うという約束。
しかし調査を進めるほど、いくつもの違和感が現れる。
死んだはずの佐伯美雪。
届くはずのない手紙。
過去を知りすぎている古書店の店主。
「どうして、あの日、来なかったの?」
二十七年越しに残された問いが、止まっていた恋をもう一度動かしていく。
これは、すれ違った二人の女性と、一箱の手紙をめぐる恋愛ミステリー。
死ぬまででは足りなかった恋は、果たして永遠と呼べるのか。
忘れなかったことではなく、何度でも現在形で愛し直すことについての物語。