あらすじ
あらすじ
――「教訓を生かす」と言いながら、なぜ同じことを繰り返すのか
西日本豪雨をはじめ、日本各地で繰り返される豪雨災害。
災害が起きるたびに政治家や行政は、「被害を検証する」「教訓を今後の防災に生かす」「再発防止に努める」と語る。
しかし、本当にその教訓は生かされているのだろうか。
本エッセイでは、西日本豪雨で明らかになった避難の難しさ、情報伝達の問題、地域の孤立、高齢者などへの支援、インフラの脆弱性などを振り返り、それらが千葉県をはじめとする別の地域の豪雨災害に十分生かされているのかを問いかける。
災害は地域ごとに違う。
だからこそ、過去の災害を単純にコピーするのではなく、そこから共通する課題を見つけ、それぞれの地域に合わせて対策を進める必要がある。
ところが、災害が収束すると、被災地への関心は次第に薄れていく。
「検証します」
「総括します」
「今後に生かします」
そうした言葉だけが残り、具体的に何が変わったのか、何を改善したのかが見えなくなる。
その姿に対して、本作は強い怒りをぶつける。
「検証できない政治、総括できない政治、過去の失敗から学べない政治に、未来の命を守ることができるのか」
災害を完全になくすことはできない。
自然現象をすべて予測することもできない。
だからこそ重要なのは、「想定外だった」と言って終わることではなく、想定外の事態まで考え、少しでも被害を減らすために平時から備えることである。
本作は、政治家だけを批判するのではない。
市民自身にも、
「自分の住む地域は安全なのか」
「避難場所を知っているか」
「家族と災害時の行動を話し合っているか」
「過去の災害から何を学んだのか」
という問いを投げかける。
そして、最も強く訴えるのは、災害で失われた命や被災者の苦しみを、単なる「過去のニュース」にしてはいけないということだ。
西日本豪雨で得られた教訓を千葉へ。
千葉で得られた教訓を全国へ。
一つの災害から得た経験を、次の災害から人の命を守るための力へ変えていく。
そのためには、怒りをただの批判で終わらせず、政治や行政に具体的な検証と総括を求め、改善を実行させなければならない。
「何が起きたのか」
「なぜ起きたのか」
「何が足りなかったのか」
「何を変えるのか」
「いつまでに変えるのか」
この五つの問いから逃げない政治こそが必要なのだ。
災害は、政治家の都合も、予算編成も、選挙も待ってくれない。
だからこそ、何も起きていない今日こそが、防災を始める日なのだ。
本作は、過去の災害への追悼と被災者への敬意を胸に刻みながら、政治家と行政に対して厳しく問いかける。
「あなたたちは、本当に過去の災害から学んだのか?」
そして最後に、怒りを未来への力へ変えることを訴える。
忘れない。
検証する。
総括する。
改善する。
実行する。
そして、次の災害で一人でも多くの命を守る。
それこそが、過去の犠牲を無駄にしないために、私たちが果たすべき責任なのである。