あらすじ
前世で長い人生を終えたはずのシャーロット・スターライルは、気がつけば異世界の侯爵家令嬢として生まれ変わっていた。十歳になったある日、彼女は運命の出会いを果たす。この国の皇帝陛下……渋みのある端正な顔立ち、落ち着いた声、そして大人の色気。
その姿は、前世のシャーロットが長年推していた俳優にそっくりだった。
『推すしかない』
こうしてシャーロットの第二の人生は、皇帝陛下を応援する「推し活人生」へと変わった。ただし、シャーロットの推し活には確固たる信条がある。
推しのために誰かを蹴落とさない。
推しの私生活に踏み込みすぎない。
無理な課金はしない。
そして何より推せる範囲で推し、自分自身の人生も大切にする。
「推しの幸せが私の幸せ。でも、私の人生も私のものです!」
そんな健全な推し活を楽しむシャーロットだが、なぜか一番の被害者になっている人物がいた。第一皇子、アシェル・ブランサイス。シャーロットと同じ十歳の美少年であり、皇帝陛下の息子。彼は幼馴染として、日々シャーロットの推し活を間近で見せられていた。
最初は肖像画の整理や観察から始まり、やがて刺繍や記念品制作、応援用の小物作りへと発展。気づけばアシェル自身も制作係として巻き込まれ…。
「どうして僕が父上の応援グッズを作っているの!?」
と叫ぶ日々が続いていた。
「アシェル様、推し活とは一人で完結するものではありません」
「僕は推してない!」
そんな二人を、王宮執事トリスタンは穏やかに見守る。さらにシャーロットの楽しげな姿に影響され、専属メイド兼護衛のエミリーは「自分も推しを見つけたい」と興味を持ち始める。
そして護衛騎士ルイスは、シャーロットから推し活の心得を学ぶうちに、ついに自分の“推し”を発見する。その相手は、剣術の師である第一騎士団団長だった。こうしてシャーロットの推し活は、少しずつ周囲へと広がっていく。
これは推しを愛する侯爵令嬢と、なぜか毎回巻き込まれる第一皇子、そして彼らを取り巻く仲間たちが織りなす、異世界推し活コメディである。