あらすじ
大嫌いだったバイオリンが、凍りついた世界を救う魔法に変わる――。
放課後の静かな音楽室。バイオリンのレッスンが嫌いな少女・光音(ひかり)は、憂鬱なため息をついていた。
「こんな基礎練習ばかり、つまらない……」
逃げ込むように棚の奥を整理していた彼女は、埃まみれの古い楽譜を見つける。そこに記された不思議な音符を何気なく弦で弾いた瞬間、まばゆい光が光音を飲み込んだ。
目を覚ますと、そこは一面が雪と氷に覆われた白銀の異世界「ノエル王国」だった。
かつては温かな音楽と人々の笑顔があふれていたその国は、人々が「心」を忘れ、音楽技術だけを追求し続けた結果、『不協和音の呪い』に飲み込まれていた。人々の絆は凍りつき、王様すらも孤独の闇に沈んでいる。
戸惑う光音の前に現れたのは、言葉を話す白猫の宮廷音楽家・アルコ。
「元の世界に帰りたければ、はるか辺境に隠された王国図書館で『古代の演奏レシピ』を見つけ、王城で奇跡のメロディを奏でてこの国にクリスマスを取り戻すしかないニャ!」
こうして、光音の不思議な冒険が幕を開ける。
立ちはだかるのは、不快な音を撒き散らして人々の心を惑わす「音楽のモンスター」たち。彼らを浄化できるのは、光音と仲間の演奏だけだった。
現実世界では「入門書のスズキ1巻なんて退屈だ」と見下していた基礎練習。しかしこの世界では、主音を愛すること、正しい姿勢、美しい弓の持ち方、そして正しいリズム……その退屈だったはずの基礎の一つひとつが、モンスターを打ち倒す強力な魔法の力となっていく。
試練を乗り越え、基本の深さを知るたびに、光音のバイオリンはこれまでにないほど美しく澄んだ音色を響かせていく。先生に「やらされる」レッスンから解放され、彼女は少しずつ、自分の心で「音を奏でる喜び」に目覚めていった。
タイムリミットはクリスマスの夜。
音楽が魔法になるノエル王国で光音は、旅の中で出会うかけがえのない音楽仲間たちと共に、凍てついたノエル王国を救うことができるのか?
そして、王様の閉ざされた心を溶かす「奇跡のメロディ」とは――?
そして、お母さんとの軋轢は・・・。
一人の少女の成長と、音楽の本当の魔法を描く、感動のハートフル・ファンタジー!
※各章に登場する曲は、著作権フリーの楽曲です。