あらすじ
世の中には、なぜか三語でできているものが多い。「友情・努力・勝利」「自由・平等・博愛」「真・善・美」「心・技・体」「報告・連絡・相談」。三つ並べると、なんとなく完成した感じがする。思想も人生も仕事も、三語にまとめれば妙にわかりやすい。
しかし、その三語を現実に持ち込むと少し様子が変わる。友情・努力・勝利は、ときどき「人脈・自己責任・査定」になり、納期・品質・コストは「急げ・ちゃんとやれ・金はない」になり、応募・面接・お祈りは「提出・審査・供養」になる。恋愛・結婚・生活だって、現実では「ときめき・契約・家事分担」まで落ちてくる。
哲学、仕事、就職、恋愛、人生。人間がありがたそうに並べてきた三語を一つずつ取り出し、本来の意味をちゃんと確認しながら、現実世界ではどう運用されているのかを少し意地悪に眺めていく風刺エッセイ。世界は複雑である。だから人間は、三語くらいにまとめたくなる。