あらすじ

侯爵アレクシスは、自分を悪い夫だと思ったことがなかった。 不貞も暴力もない。妻には何不自由ない暮らしを与え、その能力を信頼し、侯爵家のことを安心して任せている。 結婚して七年。 妻エレノアは、誰もが認める完璧な侯爵夫人だった。 だから、ある朝告げられた言葉の意味が分からなかった。 「あと三回です。それで私はあなたから去ります」 あと三回――何が? エレノアは答えない。 何を数えているのか教えてしまえば、アレクシスはそれだけを避けるようになる。それでは意味がないという。 やがて一回目が数えられ、残りは二回。 感謝が足りなかったのかと思い、「ありがとう」を重ねてみても違う。 ならばと、大勢の客の前で妻の有能さを誇らしく褒めたその夜――。 「あと一回です」 なぜだ。 自分は妻を大切にしてきたはずなのに。 残された一回に怯えながら妻を見つめ直したアレクシスは、ようやく気づいていく。 自分は七年間、エレノアの好きな花も、好きなことも、かつて抱いていた夢さえ知らなかった。 見ていたのは彼女自身ではなく、何でも完璧にこなしてくれる「侯爵夫人」という役割だけだったのではないか――。 そして最後の一回が数えられた時、エレノアが数え続けていたものの正体が明かされる。 妻を失うまで彼女自身を見ることができなかった夫の後悔と、 侯爵夫人という役割を脱ぎ、自分の人生を選び直す妻。 離縁への「あと三回」から始まる、すれ違った夫婦の再出発の物語。

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小説を読もう2026/08/14
  • 現在の作品「あと三回です」~離縁へのカウントダウン。侯爵夫人が何を数えているのか、夫にはまるで分からない~