あらすじ

においで病気の場所がわかる、総合診療医の田所誠、三十一歳。 新棟に移り、田所は決めていた。においに頼らず、自分の力だけで診断できる医師になりたい。 理詰めで食い下がってくる同僚の戸塚。素直に慕ってくる研修医の青木。期待をかけてくる、かつての指導医であった目黒。誰かに評価されるたび、田所の中で、小さな後ろめたさが積み重なっていく。 皆が、能力なしで、努力だけで結果を出している。田所も丁寧な問診を重ねる。しかし患者のためとはいえ、においで”出し抜く”たびに負けたと思い知らされる。 やめよう、その方向の思考は。 いつも隣にいる看護師の岩田さんは、田所の変化にいち早く気づいているようだった。 積み重なった後ろめたさは、ある日、田所自身にもコントロールできなくなる。 においなしの医師にはなれなかった。それでも、今日も白衣を着て、診察室に向かう。 弱気で気弱な総合診療医が、能力との向き合い方を選び直す、続編。

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カクヨム
カクヨム2026/08/13
  • 現在の作品続・僕の人生は鼻に握られている