あらすじ
~登場人物の紹介とあらすじ~
i)登場人物の紹介
クイル
湿地の町ラウデンを守る堤道守。住民から厚く信頼され、危険な状況でも冷静に判断する。一方で、「責任者なら自分が最後まで背負うべきだ」と考え、自分の限界を越えてしまう癖がある。
トビー
堤道の測量と修理を担う職人。数字と手順を重んじ、細かな異常を見逃さない。感情さえ整理してから言葉にするため、深刻な場面でも妙に冷静。
フィリップ
鉱山の監察官。数字や記録の食い違いから問題を発見することに長ける。しかし一度信頼した相手の判断に頼りすぎる弱さを持つ。
マルレネ
アーモンド畑を営みながら、人々の治療にもあたる女性。感情を隠さず、それでも絶望の中から次にできることを探し続ける。
エディン
宿屋を営む女性。物資、寝床、避難者まで即座に整理し、人々を動かす話術を持つ。五人の中でも特に現実的で、「正しさ」より「人が生き残ること」を優先する。
ii)あらすじ
湿地に囲まれた町ラウデン。
人々は堤道に守られ、アーモンドを育て、鉱山から採れる美しい青石――アジューライトによって暮らしていた。
晴れた日は耕し、雨の日は読む。
そんな穏やかな町に、長雨が降り始める。
堤道守のクイルが見たのは、十四年前に死んだ父の夢だった。
ところが目覚めた部屋には、存在するはずのない青い足跡が残されていた。
やがて町中で悪夢を見る者が増え、眠りの中だけだった恐怖が現実へ姿を現し始める。
水没する家。
死んだ人間。
自分自身の最期。
そして、一人の鉱夫が存在しない崩落から逃げて命を落とす。
クイルたち五人が調査を進めるほど、町を豊かにしてきたアジューライトと、百年前から隠されてきた事実が浮かび上がる。
守るべきものは、町なのか。
そこで暮らす人々なのか。
そしてクイルは、父と同じようにすべてを一人で背負おうとする。
悪夢のような現実の中で、五人が選ぶ「生き残るための決断」を描く、ダークファンタジー。
死と喪失の物語。