あらすじ
すごい人間になりたかった。
それは、誰もが振り返るような才能を持ちたいとか、新聞に名前が載るような偉業を成し遂げたい名誉とか、そういう派手で明確な願望ではなかった。ただ、自分という人間がこの世界のどこかに立っていることで、誰かの景色がほんの少しだけ変わるような、無色だったものにわずかな色が差すような、誰かの世界を変えられるそんな人間になりたかったのだと思う。けれど、そんな願いは年齢を重ねるごとに輪郭を失っていった。
そんな僕の目の前にいるのは全国指名手配されている殺人鬼だ。これは僕とこの殺人鬼のお話。