あらすじ
ブラックぎりぎりの会社勤めに嫌気が差した、橋本一樹・27歳。
求人誌で見つけたのは、未経験可・資格不問・シフト制・残業ほぼなしという、妙に条件の良い保育補助の仕事だった。
「まあ、今の会社より酷いところはないだろ」
そんな軽い気持ちで転職した一樹だったが――勤務先は、なんと魔界に繋がる王立保育園。
しかも預かる子どもたちは、竜王の娘、異界の魔王の嫡男、まだ30歳の幼いエンシェントエルフ、そして誰も正体を認識できない謎の園児。
つまり全員、将来一国どころか世界を背負いかねない“魔王候補”たちだった。
母親が恋しくて泣けば火炎ブレス。
王族の誇りが邪魔をして素直に遊べない。
一番年上だからと無理して皆をまとめようとして泣きそうになる。
けれど一樹にとっては、竜王の娘だろうが魔王の息子だろうが関係ない。
「いや、泣いてるならただの子どもだろ」
立派な魔王の育て方なんて知らない。
世界を治める王の教育なんて、もっと知らない。
だから一樹は、その子が今、本当に必要としているものを考える。
これは、大層な志も特別な力も持たない一人の人間が、
未来の魔王たちを“魔王としてではなく、子どもとして”育てていく物語。