あらすじ
渡辺頼綱(わたなべよりつな)は地域の交番に勤務している。まだまだ新米巡査の頼綱は地域の人々と親しく交流しながら日々を過ごしていたが、十二月一日、顔見知りの小学生である美代(みよ)が交番へとやってくる。
美代が慕う「お花のおばあちゃん」、三浦(みうら)トキの姿をしばらく見ないという相談だった。独居老人のトキを頼綱も時折気に掛け、たまに様子を見に行くことをしていたが、美代の言う期間はちょうど忙しくしていて頼綱も訪ねていなかった。美代が心配していることを含め、一度様子を見に行くべきだろう。そう頼綱は判断して巡回のついでに訪ねることにするが、しかし夕方、訪れたトキの家で彼女の死体を発見する。
当初トキの死は病死とされた。事件とは見なされなかったその翌日、事件性なしと処理されたはずのトキの死は不審死とされ、捜査本部まで立てられていた。
現場に先着した警察官ということもあってか捜査本部に加えられた頼綱は、先杖幸樹(さきづえこうき)という明るい髪色をした男に声をかけられる。会議室の中で分かりやすく浮いた数人。先杖と酒匂君人(さこうきみと)、由良真澄(ゆらますみ)という男女。三人は警視庁からやってきた警察官で、所属は刑事部の「呪詛対応課(じゅそたいおうか)」だという。
呪詛対応課――略称を呪詛対。その名の通り、呪いがかかわる事件を扱う部署だ。
呪詛対がいることから明らかだったが、捜査本部にてトキの死が呪詛死である可能性が示される。ただし普段から呪いにかかわる呪詛対以外は懐疑的だった。周囲の胡乱な眼の中、頼綱は疑わしげにされる呪詛対に加わって捜査にあたることになる。