あらすじ
女性が社会の頂点に立ち、男性が"管理"される国――現代日本。
「コウモリ効果」という奇妙な理論のもと、知性と性衝動を併せ持つ男は危険視され、首輪型の管理デバイスを装着されることが当然とされていた。
従順であることこそが、男に許された唯一の"幸福"とされる時代。逆らえば、施設送り。逆らわなければ、心を失っていく。
父の葬儀の日、二十三歳の彼はすべてを失う。
母と姉から相続権を放棄させられ、実家を追われ、残ったのは女性優位社会を生き抜くために必死で磨いてきた知性だけだった。
行き場を失った彼を待っていたのは、"管理対象"としての人生だった。
そんな彼の前に現れたのが、業界に君臨する若き女性社長だった。
彼女は彼を管理対象として引き取り、正式な所有者となる。
冷徹な数値管理と、時折こぼれる不器用な優しさ。
従属と保護のためだけの関係だったはずなのに、監視され、飼育され、それでも大切に扱われるうちに、彼の中で依存とは違う何かが育ち始める。
それは彼女もまた同じだった。
理事会は「高知性型男性への過剰な感情移入」を問題視し、二人の関係は次第に国家の監視対象となっていく。
守ろうとするほど追い詰められ、近づこうとするほど二人の間に規則という壁が立ちはだかる。
管理か、自由か。所有か、対等な関係か。
答えの出ない問いの中で、二人は少しずつ後戻りできない場所へ足を踏み入れていく。
そしてついに下された強制回収命令の夜、彼女は初めて"社長"という仮面を脱ぎ捨てる。
すべての地位と安全を捨て、二人は国境の向こうへと逃げ出した。
たどり着いた先に自由はあっても、誰かが保証してくれる安心はない。
首輪のない世界で、二人は初めて対等な人間として向き合うことになる。
それでも、傷つきながら誰かを想うことをやめられない――
不完全なまま、それでも人間らしく生きようとする男と女の、逆転世界サバイバル・ラブストーリー。