あらすじ
チリン、チリン――。
その夜、『喫茶厨房 本能寺』に現れたのは、十人ほどの幽霊だった。
客数ゼロ、売上ゼロ。
ライバル店『本願寺カフェ』に客を奪われ、営業本部長の柴田勝家まで警察に連行されるという最悪の一日。
そんな本能寺に、突然現れた謎の足軽幽霊たち。
しかも彼らは、バイトリーダー・羽柴秀吉を見るなり、
「殿……!」
と、黄泉の国へ連れて行こうとしてくる。
絶体絶命の秀吉を救うため現れたのは、琵琶を携えた謎の琵琶法師。
しかし、十人もの怨霊を鎮めるには音が足りない。
そこで現れたのが――全身に熊避けの鈴を装備した仙石秀久だった。
「チリンチリン!」
「……何を言っているのか分からん」
「『セッションするがね!』って言ってるがね!」
なぜか秀吉だけには、鈴の音が完璧な名古屋弁として聞こえてしまう。
こうして始まった、日本史上類を見ない罰当たりな除霊ライブ。
幽霊たちは成仏できるのか。
秀吉は黄泉へ連れて行かれずに済むのか。
そして――本能寺は無事なのか。
これは、『結末はいつも本能寺』本編では語られない、とある夏の夜の物語。
チリン、チリン。
鈴の音が止まったとき、いつものように――本能寺は燃える。