あらすじ
王都中央広場には、百年間、誰にも抜けなかった聖剣があった。
祭りの翌朝。
清掃係の青年は、石板に張りついた飴を取るため、邪魔だった聖剣を引き抜いてしまう。
すると、聖剣の刺さっていた穴から出てきたのは、百年前の勇者本人だった。
新しい勇者になんてなりたくない青年。
二度と勇者をやりたくない元勇者。
しかも魔王はもういない。
世界は、概ね平和である。
それでも聖剣を抜いた青年を、世間は新たな勇者として放っておいてくれない。
「だったら、聖剣を元の場所へ返せばいい」
目的はひとつ。
聖剣を、本来あるべき場所へ返すこと。
聖剣をどこへ返せばいいのか、心当たりがあるのは百年前の元勇者だけ。
こうして、勇者になりたくない二人の旅が始まる。
パンを食べ、列車に乗り、宿代に困り、道を間違える。
そんな旅の途中、百年前の勇者伝説には残らなかった名前や記録が、少しずつ顔を出していく。
それでも、二人がやることはひとつ。
聖剣を返す。
勇者になるためではなく、勇者をやめるために旅をする。
そんな二人の冒険ファンタジー。