あらすじ
「銭を稼がぬ嫁に一文も渡さぬ。食わせてもらっている身で、何が要る」——そう言われて三年、わたくしは一文も受け取っておりません。
代わりに、嫁入りに持ってきた講を崩しておりました。時化の後は白身が三日だけ跳ねます。三日ぶん立て替えなければ、擂りは千二百回を保てません。回数を落とせば表の艶は同じでも、板を裏返したとき、端がむしれるのです。
離縁を告げられた日も、最後の魚代だけは払って河岸を出ました。なぜ払うのか、自分でも数えませんでした。
三年分の払いが河岸で突き合わされたとき、誰の名で銭が動いていたかが出ました。空いた擂り台には、家の印を置いても粉木は動きません。自分の名を板の尻へ焼いたわたくしの土間へ「戻れ」と並んだ三人へ、同じ一句をお返しするお話。