あらすじ
Sランクパーティーで六年間、荷物持ちとして仲間を支えてきたユウト。
だが、さらなる深層攻略を目指す仲間たちは、新しい前衛を加えるために彼を外すことを決める。
「荷物なら、マジックバッグがあれば十分」
そうしてパーティーを追放されたユウトは、一人で新しい仕事を探すことになった。
けれど本人は知らなかった。
自分が当たり前のように使ってきた《収納》が、普通の《収納》とはまるで違うことを。
膨大な物資を収めても重くならない。
食料も薬も入れた時の状態を保ち、必要な物をすぐ取り出せる。
そして何より、六年間積み重ねた補給・整備・野営・撤退判断――そのすべてが、仲間たちの力を最大限に引き出していた。
追放後、剣士レティシアと出会ったユウトは、再び「誰かを支える」仕事を始める。
温かい食事。整えられた装備。迷わない補給。安全な野営。全員で帰るための準備。
ユウトにとっては、どれも荷物持ちなら当然の仕事。
しかし周囲にとっては――どうやら全然、当然ではなかったらしい。
一方、彼を「マジックバッグで代用できる」と考えた元パーティーも、少しずつ気づき始める。
自分たちが失ったのは、荷物を運ぶ一人ではなかったのだと。
復讐するつもりなんてない。
ただ目の前の人を支え、必要なものを必要な場所へ届けていく。
そんな荷物持ちが、やがて多くの人を救い、英雄と呼ばれるまでの物語。