あらすじ
死後二十四時間だけ、死者と会話できる世界。
死者は、生前に知っていたことについて意図的な嘘をつくことができない。
そのため死後証言は、殺人捜査や裁判における最も信頼できる証拠として扱われていた。
警視庁「死後証言捜査室」の聴取官・御影冬花もまた、
「生者は嘘をつく。死者だけが真実を話す」
と信じている。
そんな冬花の前に、一人の死者が現れる。
被害者は、死後証言制度を作った法医学者・久世真理亜。
胸を刃物で刺され、明らかな他殺と思われた。
ところが残響した真理亜は証言する。
「私は殺されていません」
自殺ではない。
事故でもない。
他人に刺された。
その傷がなければ死ななかった。
それでも――誰にも殺されていない。
さらに第二、第三の「犯人のいない死」が発生。
事件を追う冬花はやがて、十五年前に殺された母の死後証言へ辿り着く。
母は言った。
「私を殺したのは夫です」
その証言によって、冬花の父は死刑になった。
しかしもし、
死者が嘘をつかないことと、死者が正しいことが別なのだとしたら?
刺した者。
薬を与えた者。
救おうとした者。
危険を設計した者。
一人では誰も殺していないのに、すべてが重なれば人は死ぬ。
では――
犯人とは、誰なのか。
「死者は嘘をつかない」という絶対のルールそのものを疑う、特殊設定本格ミステリー。
嘘をつかない者が、真実を知っているとは限らない。