あらすじ
※この作品はフィクションです。
新潟県の山中に、かつて「幸来纈村」と呼ばれる小さな集落があった。
2008年8月16日。
村民二十名と、捜査に入った警察官一名が消息を絶った。
村の人口は二十一名。しかし、その全員が戸籍をはじめとする公的記録に存在していなかった。
唯一保護された村民は重度の錯乱状態にあり、現在まで一度も有効な証言を残していない。
県警は本件を集団失踪事件として処理した。
だが、その結論に納得しなかった警察官・汐月 謙は、五年にわたって独自の再捜査を続ける。そして2013年10月、当間山から寄せられた落石事故の通報に単独で応じた後、彼もまた不可解な状況で姿を消した。
現場に残されていたのは、無人の警察車両と、不自然に抉られた巨大な岩だけだった。
それから十年。
三百年以上続く日守神社の跡取り・日守叶初は、裏山で白骨化した左手と腕を拾う。
遺骨の指には結婚指輪が嵌まっていた。
鑑定の結果、それは十年前に失踪した汐月謙のものと判明する。
そして同じ頃、叶初の家の古書庫には死んだはずの汐月本人が幽霊となって現れていた。
彼は自分がどこで、何に遭遇し、どのように死んだのかを覚えていない。
幸来纈村はどこへ消えたのか。
村で繰り返されていた「諫逆の儀」とは何だったのか。
なぜ汐月の遺体は、十年を経て一部だけ山へ戻されたのか。
封印された新潟県警内部調査記録。
各地に散逸した祭祀文書。
そして、怪異を見抜く十五歳の少女が書き残した逢魔記録。
複数の記録を通して、地図からではなく、この世界から消失した村の真相を追うオカルト・フェイクドキュメンタリー。