あらすじ
高校一年生の春。
野球部に所属する少し奥手な少年・ユウキの前の席になったのは、明るくて元気で、いつも笑顔の少女・マミだった。
授業中にも後ろを振り返っては話しかけてくるマミと、そんな彼女に密かに惹かれていくユウキ。
数学教師から「二人はお似合いですね!」とからかわれるほど仲の良かった二人は、実はお互いにとっての初恋だった。
――それなのに、二人は恋人になれなかった。
想いを伝えられないまま時間は流れ、ユウキはマミの親友・マユから告白され、付き合うことになる。
やがて高校を卒業し、それぞれ別々の人生へ。
大学時代にも恋愛を経験し、二十三歳になったユウキは大手営業会社の営業マンに。
マミもまた、大手OA機器メーカーで働く社会人になっていた。
もう、あの恋は青春時代の思い出。
――そう思っていた。
そんなある日、ユウキのもとへ母校・花園高校から文化祭の招待状が届く。
懐かしさに誘われ、一人で母校を訪れたユウキ。
かつて過ごした校舎。
変わらない教室。
青春の記憶が残る風景。
そして、人混みの向こうにいたのは――。
「……あ」
「あっ!」
ずっと忘れられなかった初恋の人、マミだった。
偶然の再会を喜び、一緒に文化祭を回ることになった二人。
そして二人は、あの頃には知らなかった真実へたどり着いていく。
――実は、ずっと両想いだった。
「もし、あのとき告白していたら」
「もし、あのとき好きって言えていたら」
大人になった今だからこそ向き合える、青春時代の後悔。
別々の恋を知ったからこそ分かる、本当に大切な人。
けれど、社会人になった二人の恋は、高校時代のように甘いだけでは終わらない。
仕事。
すれ違い。
過去の恋。
将来への不安。
離れて過ごす時間。
それでも二人は、今度こそ互いの手を離さない。
高校時代には恋人になれなかった二人が、再び恋をして、恋人になり、やがて人生を共に歩く存在へ――。
これは、運命の人と初めて出会う物語ではない。
ずっと昔に出会っていた運命の人と、もう一度恋を始める物語。
前の席と後ろの席から始まった、二人の初恋。
遠回りした時間さえ、いつか大切な思い出に変わっていく。
『初恋は、十年越しに花開く。』
あの日、言えなかった「好き」の続きを――今度こそ、君と。