あらすじ
伯爵令嬢ロズヴィータは十のとしから、国の暦を星を測って引いてきた。娘の筆と知る者は、天文寮の寮頭ただひとり。
夜会の晩、王太子オズヴァルトは新しい想い人を横に、彼女の十年を鼻で笑って捨てた。ロズヴィータは一礼して告げる。「では、来年の暦は、どなたかお引きくださいませ」。翌季、種まきの布告が半月ずれ、南の船団が嵐にぶつかった。凶作を問う諸侯の前で、寮頭が明かす——殿下が手放したのは、王国の暦そのものでございます。
欄外の小さな但し書きに気づいていたのは、北の辺境伯ギデオンだけ。三日ずらした年には必ず理由がある——その筆の主を、十年探していた男である。彼女の星は、次の春から北の空を回る。