あらすじ

「……神崎くんのことが好きです。私と、付き合ってください」 放課後の校舎裏で、いきなりそう言われた。 目の前に立っている女子生徒が誰なのか、僕には分からなかった。 目も、鼻も、口も、黒く塗り潰されて見える。僕にとって、人の顔はずっとそういうものだ。 中原雫。 人気の若手女優だと知ったのは、振ってしまった次の日だった。 学校中が彼女の顔を知っていて、僕だけが知らない。 それなのに彼女は、仕事のない日に美術室へ来るようになった。 顔が分からないから、僕は彼女を数えるしかなかった。 声の高さ。右の踵が強く鳴ること。柑橘に似た香水。笑うとき、声より先に息が漏れること。 美術部で、僕は人のいない絵ばかり描いてきた。 その僕が、彼女を描きたいと思ってしまった。 ※完結済みです。改稿版を投稿していきます。 別で投稿している『シンデレラは酒を飲まない』と世界観を共有しています。本作品のみでもお読みいただけます。

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小説を読もう2026/08/13
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