あらすじ
深夜の終着駅。終電を見送った二人の男女が出会う。
優秀だが重度の「失感情症」を抱え、自分の心が動く瞬間をロジカルにしか捉えられない男。
他人の感情を過剰に同期してしまう「超共感(HSP)」の果てに、自己を見失った女。
血も流れなければ、誰も傷つけない。
しかし、二人が言葉を交わすたび、その心理的ディテールは病的なまでに重なり、執着へと変貌していく。
夜の街をあてどなく歩く行為を、彼らは「終わらない列車の旅」と呼んだ。
傷を愛へと昇華させる、深層心理サスペンス・ロマンス。
主人公:真壁 零(まかべ れい) / 28歳
表の顔:データアナリスト。全てを数値とロジックで処理する。
心理的病理:「失感情症(アレキシサイミア)」
自分が「悲しい」のか「嬉しい」のかを脳が認識できない。
心拍数の上昇や発汗などの生理現象(ディテール)を観察して、初めて「私は今、焦っているらしい」と判断する。
ヒロインの感情の激しさに、生まれて初めて「心のバグ」を感じて執着する。
ヒロイン:阿澄 硝子(あすみ しょうこ) / 24歳
表の顔:深夜の駅ビルにこもる美術修復アシスタント。
心理的病理:「過剰同調・境界性認知」
相手の呼吸、視線の動き、微細な筋肉の緊張から感情を100%コピーしてしまう。
そのため他人が怖くなり、誰もいない夜にしか呼吸ができない。
しかし、感情が「空白」である零の隣にいる時だけ、静寂を得られることに気づく。