あらすじ
聖女候補の双子の姉セレイスは、いつも妹ミレイアの前座だった。
セレイスが芽を出し、ミレイアが花を咲かせる。
セレイスが水の一滴を呼び、ミレイアが泉へ広げる。
人々は、完成された奇跡を起こす妹だけを見ていた。
十六歳の認定式で、妹ミレイアは真の聖女と認められる。
一方、姉セレイスは王太子から婚約を破棄され、父からも家を出るよう命じられる。
行き先は、不毛の地ノーヴェラント辺境領。
「芽しか出せない力でも、あの土地なら多少は役に立つかもしれない」
そうして捨てられたセレイスは、辺境の枯れた畑で小さな芽を生む。
王都では軽んじられた、ただの芽。
けれど、何年も芽が出なかった辺境では、それこそが奇跡だった。
「芽が出たなら、この土はもう死んでねえ」
「芽が出たあとのことは、俺たちがやればいい」
セレイスは初めて、自分の力が無意味ではなかったと知る。
一方、姉を失った王都では、最初の芽を生めない聖女ミレイアの限界が現れ始める。
芽しか出せないと捨てられた姉。
けれど王都が失ったのは、すべての始まりを生む聖女だった。