あらすじ
ある朝、幼馴染の「中身」が、別人になっていた。
箸の持ち方が違う。呼び方が違う。昨日交わしたばかりの約束を、覚えていない。
それなのに、家族も、教師も、クラスメイトも、誰一人として気づいていない。
気づいたのは、水瀬カイただ一人だった。
この街には、裏側がある。
人々が選ばなかった選択肢が積もってできた、鏡写しのもう一つの街――裏側の街(リバーサイド)。そこに暮らす「未遂者(ミスイシャ)」たちが、表の人間と入れ替わり始めていた。入れ替わられた本物は、消えるのではなく、裏側へ送られる。
カイに宿ったのは、自分が選ばなかった選択を数秒だけ現実にする力――「上書き(オーバーライト)」。ただし使うたび、実際に選んだ側の記憶が薄れていく。
本物のヒナは、どこへ消えたのか。
そして、次に入れ替わるのは、誰だ。
選ばなかった選択肢に、価値はあるか。
現代ファンタジー×サスペンス、開幕。