あらすじ
北方高原で季節水の流れを現地へ引き継いだリリィたちは、東の乾燥平原から届いた短い通信を受け取る。
「風車が、風のない夜に回り続けている」
向かった先は、砂と乾いた土に囲まれた風待ち村アラム。
そこでは、風が吹いていないにもかかわらず、一本の風車だけが夜通し回り続けていた。さらに、使われなくなった乾き井戸の蓋が下から押し上げられ、村の南側では砂地が円形に沈み始める。
原因は、風車そのものではなかった。
村の地下には、かつて「風の道」と呼ばれた古い通気路が残されていた。地面の下を流れるぬるい空気、砂を動かす上昇流、温かくなった井戸水、火を使ってはいけないという古い警告。
風を閉じれば、別の場所から噴き出す。
風を逃がせば、風車が暴走する。
砂を止めれば、地面の下に熱がこもる。
リリィたちは、風待ち村の記録係ラサ、地下の風を知る少年ナジ、そして記録から消えていた風の道の守り手たちとともに、乾燥平原の地下で何が起きているのかを追っていく。
水の次は、風。
けれど、それはただの風ではない。
砂、熱、井戸、風車、地下空洞。
見えない空気の流れを読み違えれば、村そのものが沈み、乾いた平原に熱と砂塵が吹き上がる。
第五部では、乾燥平原を舞台に、「風を止める」のではなく、「風の逃げ道を取り戻す」ための巡回が始まる。