あらすじ
戦争が終わって、七年。
かつて戦場の最前線を駆け、大陸中に名を轟かせた魔導士イーノ・フェスレは、平和になった祖国で魔法大臣として暮らしていた。
地位も、仲間も、何不自由ない生活もある。
きっと幸せではあるのだろう。
ただ――戦争の中で生きてきた彼には、少しばかり退屈だった。
そんなある日、長く存在すら定かではなかった海の向こうの大陸へ渡る道が開かれる。
未知の土地の調査を命じられたイーノは、仲間たちとともに海を渡ることになる。
その大陸では、人間と獣人の戦争が続いていた。
そこでイーノが知る、一人の男の名。
テオディスク王国の将軍、クマン・ア・ルクィンド。
人並み外れた力を持ちながら、その力を恐れ、争いのない世界を望む青年。
守りたいものを守るために戦い続ける彼は、自分が後に何と呼ばれることになるのか、まだ知らない。
戦うことを愛する、すでに英雄になってしまった男。
戦いをなくしたいと願う、まだ英雄ではない男。
本来なら交わるはずのなかった二つの大陸と、二人の人生が交差する。
出会いは敵同士。
やがて彼らの戦いは、大陸を覆う争いと、そのさらに奥にある世界そのものの危機へと繋がっていく。
これは、戦争の中でしか生きられない英雄の戦後と、
これから始まる英雄譚。