あらすじ
魔法の才能だけなら、誰にも負けない。
――なのに、戦闘魔法が使わない。
少年ヒロが覚えたのは、敵を焼き払う炎でも、すべてを凍らせる氷でもなかった。
身体強化魔法。
水を浄化する魔法。
壊れた物を直す魔法。
異常を見つける探知魔法。
そして、それらをより早く、より正確に使うための技術。
幼い頃、故郷で経験したある出来事をきっかけに、ヒロは人々の暮らしを支える仕事に夢中になっていった。
十歳になり、親友のガレスとともに冒険者となってからも、それは変わらない。
ガレスが剣を振るい、次々と強敵を倒してランクを上げていく一方。
ヒロが直すのは、街灯、下水道、魔力導管、城壁――。
受けるのは地味な仕事ばかり。
当然、冒険者ランクはいつまで経っても最低のFランク。
それでもヒロは気にしない。
「僕は冒険者ですけど、その前に職人ですから」
壊れた物を直す。
困っている人がいれば手を貸す。
ただそれだけの日々を、親友と、職人たちと、ギルドの仲間たちと過ごしていく。
本人はまだ知らない。
戦うためではなく、誰かの暮らしを守るためだけに磨き続けたその魔法が――
いつの日か、とんでもない領域へ辿り着くことを。
これは、最強になれる才能を持ちながら、ひたすら人々の暮らしを直し続けたFランク冒険者と、
そんな彼の隣を歩き続けた親友ガレスを取り巻く、
少し変わった、温かな冒険譚。