あらすじ
アルヴェリア王国の中堅都市リーデン。その西工房区、風見鶏通り17番地には、自宅兼工房の「クラウゼル魔法具店」と、にぎやかな一家の暮らしがある。
店主のオスカーは、試行錯誤が大好きな魔法具職人。安全性と使いやすさを何より大切にしながら、新しい道具を思いついては家族を騒動へ巻き込んでいる。妻のリディアは、穏やかで優しい地域保健治療師。おっとり見えて、家族が本気で逆らえない影のまとめ役だ。
長女エルナは十五歳。高等学院に通う学業優秀な理論派で、自称しっかり者ながら少し天然。長男フィンは十一歳。勉強より体を動かすことが好きで、困っている人を放っておけない正義漢。末っ子のミアは五歳。感情豊かで、家族みんなに愛される天真爛漫な存在だ。
庭の離れには、リディアの父アルノも暮らしている。かつて王立魔法研究院の総監を務めた優秀な魔法研究者で、今も魔法の根源を追究中。そしてもう一羽、白い鷹のような姿をした謎の存在ルクス。本人は家族の一員であることを認めないが、誰よりもこの家を気にかけている。
星を見る道具が光を集めすぎたり、掃除道具が足跡を追い続けたり。騒動の始まりは、いつも誰かの小さな善意と魔法から。
世界を救う使命も、最後の決戦もない。笑って、困って、助け合いながら、昨日よりほんの少しだけ成長していく。
風見鶏通り17番地では、今日も家族の暮らしのすぐそばで、魔法が何かを起こしている。