あらすじ
皆既月食の夜、境内で飼い猫を追いかけた天野結月は、光の渦に呑まれ、二つの月が昇る異世界エルミラへと迷い込んだ。
勇者として召喚されたわけではない。誰にも望まれず、ただ紛れ込んだだけの存在。それでも結月の手には、内と外、傷と治癒、そして生と死――あらゆる「境界」を操る、三百年前に途絶えたはずの力が宿っていた。
この力を持つ者は、世界の門を独占する白門教会から「異物」と呼ばれ、狩られる運命にある。流れの傭兵レインに助けられ、境界の精霊ノアに導かれながら、結月は少しずつ、自分の力の意味と、この世界で果たすべき役割を知っていく。
子供たちを密かに「触媒」として狩る教会の闇。三百年前、独りきりで世界を救い、境界そのものに消えていった先代の乙女セレイアの悲劇。そして、その果てに待つ、両世界を賭けた大司教カイエンとの激突。
境目に敏感で、頑固で、理不尽な線引きを許せない少女が、多くの出会いに支えられながら、セレイアとは違う結末を掴み取る――全80話、完結済みの異世界ファンタジー。