あらすじ
夜の音楽室から聞こえるピアノ。数えるたびに段数の変わる階段。四時四十四分の鏡に映る、知らない女の人。
科学部にただ一人の暮林ハルは、そのすべてを測り、録り、種を明かしてきた。説明がつけば、誰も騙されない。誰も壊れない。彼女がそう信じるのには理由がある。
七不思議の連載を書く文芸部長、物集リコは、種明かしの記事を読んで目を輝かせた。
じゃあ、あなたが聞いたソナタは、あなたの脳が作曲したのね。
素敵。
二人は一年をかけて、六つの怪談を解いた。解けなかったものが、たった一つだけ残った。録音の末尾、零点四秒。
そして冬、ハルは最後の七不思議を調べはじめる。放課後の理科室に、いないはずの二人組がいる。眼鏡の子と、ポニーテールの子。窓際で笑い合い、階段を並んで数え、録音機を挟んで座る二人。噂の中で、二人は両想いということになっている。
この気持ちは、いつからだった。
彼女は唯一信用できる語り手に問う。
一年分の録音を、頭から再生する。