あらすじ
世界との断絶を望み、孤独を「完璧な世界」に見立てて生きる高校三年生の水咲。
父の死をきっかけに彼女が出会ったのは、病に侵され、それを解放と呼ぶ青年・崇征だった。
「生きること」を否定した少女と、「消極的な自殺」を選んだ青年。
桜の舞う春の日、ふたりの“最期”の一年が始まる。
崇征と過ごすうち、水咲の閉ざされた世界は少しずつ変わっていく。
誰かを待つこと。嫉妬すること。触れたいと願うこと。失うことを怖いと思うこと。
初めて知る感情のすべてが、痛みと共に、水咲に「生きること」を教えていく。
一方、すべてを諦めていた崇征もまた、水咲と出会ったことで、残された時間の先を望むようになる。
けれど、ふたりに与えられた時間はあまりにも短い。
そして水咲は、亡き父が遺した秘密を知る。
愛するほど、別れは怖くなる。
幸せになるほど、生きたいと願ってしまう。
やがて再び桜が咲くとき、ふたりが選ぶのは――。
死を待っていた少女と青年が、互いに出会ったことで初めて「生きたい」と願うまでの、一年間の物語。