あらすじ
お正月、税務署の調査官・菖蒲(あやめ)十郎のもとへ、十二個入りの生餃子が届いた。
夕食に焼こうとすると、そのうち一個がぼんやりと光り、跳ねて逃げ、夜中には片栗粉を食べ始める。
やがて餃子は白い蛹になり、透明な羽を持つ小さな男の子へと生まれ変わった。
十郎はその子を「チャオズー」と名づけ、二人の不思議でにぎやかな暮らしが始まる。
食べ物に残された記憶を感じ取ることができるチャオズー。ある日、十郎が調べていた食肉加工会社の餃子に触れ、作った人々の恐れと、隠された嘘を感じ取る。
帳簿の中にだけ存在する肉。
「今回だけ」から始まり、少しずつ育っていった嘘。
そして、暗い工場の冷蔵庫の下で生まれる、もう一人の小さな子。
拾われ、名前と愛情をもらった子。
拾われず、毒と人々の暗い思いを食べて育った子。
二人が出会ったとき、チャオズーが選んだのは、悪を倒すことではなく、その子を一人にしないことだった。
悪いことを、なかったことにはできない。
それでも、誰もが来た道を戻り、もう一度生き直すことはできる。
可笑しくて、少し悲しくて、最後には温かな光が残る、餃子の妖精とお父さんの物語。