あらすじ
■ジャンル・主な読者価値
・現代ダンジョン×呪い攻略×逆転無双×バディラブコメ。
・全ての価値観が呪いを中心に回る、エクストリームな呪いヲタの最強主人公
・元S級ヒロインが、戦う力、自分の居場所、素の人格を取り戻していく再起と恋愛
・呪いの願い=「本懐」を推理し、意外な方法で叶える攻略戦
・世間では最底辺E級、実際は災害級という明快な実力開示
・人外ヒロイン、探索配信、共同生活を組み合わせたテンポのよいコメディ
■ログライン
・呪いにしか興味がないE級探索者・久世灰人が、呪われてS級から転落した白峰澪と組み、呪具の叶わなかった本懐を遂げながら七大呪物を終わらせていく、現代ダンジョンバトル。
■追いかけたくなるメインキャラクター
・久世灰人――呪いを救った結果、世界まで救ってしまう最底辺E級
普通の魔導武器を使えず、持ち主まで傷つける「呪具」だけを扱える探索者。呪具で魔物を倒すと魔核が穢れて実績にならないため、A級の魔物を倒せる実力を持ちながら、探索者制度の中では万年E級に分類されている。
灰人の全ての価値観は、呪いを中心に回っている。生活費に困っていても報酬より珍しい呪具を選び、美女の好意より未知の呪いに目を輝かせる。猛毒や激痛だけでなく、「背中が異様にかゆい」「抜刀するとくしゃみが出る」といった、しょうもない呪いまで嬉々として引き受けるエクストリームな呪いヲタである。
しかし、呪いへの姿勢だけは真摯である。呪具を強い武器として使い潰すのでも、危険物として破壊するのでもなく、その奥に残った願いや執着を理解し、「本懐を遂げて、きちんと終わらせてやりたい」と考えている。彼が聞きたいのは、呪いが最期に残す「ありがとう」の一言(と、その呪いの「味」)だけである。
灰人は人助けや正義を第一の目的にはしていない。第1~5話で人々を救うのも、呪いの本懐を遂げようとした結果にすぎない。それでも、誰にも理解されなかった呪いと正面から向き合う彼の異常な信念が周囲を巻き込み、結果として人も呪いも救ってしまう。この「常識から外れた行動原理」と「決して揺らがない優しさ」が、ギャグ、事件解決、主人公無双を全て動かす。
本懐を遂げた呪いは灰人の中へ吸収され、新たな能力になる。話が進むほど使える呪いと実力が増し、「次はどんな呪いに興奮し、どう使いこなし、どこまで規格外の力を見せるのか」を継続的な期待にする。
・白峰澪――最強だった少女が、自分の人生を取り戻していく
元S級探索者にして、人気探索配信者「白騎士」。勝ち気で現実的、困っている人間を見捨てられない実力者である。半年前に受けた呪いによって、戦えば侵食が進み、周囲まで呪気に巻き込む身体となった。探索者ランクはE級へ転落し、配信活動も休止している。
七年前に迷宮で失踪した姉を捜すことが、探索者になった目的である。そのためなら、罪悪感を抱きながらも、自分の呪いを肩代わりできる灰人の体質を利用する強かさを持つ。一方で、灰人の実力と信念を誰よりも早く認め、彼が世間から軽視されれば自分のこと以上に腹を立てる。
澪は物語開始時点で、実力、活動の場、他者との接触、姉をまねて作った「白騎士」という人格に縛られている。灰人の一切揺らがない姿に引っ張られ、戦う力を取り戻し、仲間を得て、配信上でも素の自分をさらしていく。灰人への恋心とともに、「姉の背中を追う少女」から「自分の意志で進む探索者」へ再生していく過程を追わせるメインヒロインである。
・ベルゼラ――笑っていいのか、恐れるべきか、正体が読めない呪いの少女
灰人の中に宿り、黒剣へ変身する少女姿の呪い。「世界一禍(まが)いキューティ呪物」を自称し、無表情でダブルピースをしながら奇行を繰り返す。巨大化して母親役を演じた直後、巨大ぬいぐるみにフロントスープレックスされるなど、予測不能なビジュアルギャグを担う。
一方、七大呪物を前にした瞬間だけ目から光が消え、普段とは別物の異様さを見せる。本懐は「七大呪物の根絶」だが、その理由も、なぜ灰人の中にいるのかもわからない。黒剣となれば東京湾を割るほどの力を持ち、敵対者は灰人を「ベルゼラの器」と呼ぶ。
人外ヒロイン、相棒武器、コメディ要員、物語全体の謎を一人で兼ねる。「次は何をするのか」という表面的な予測不能さと、「本当は何者なのか」という長期的な疑問の両方で読者を引っ張る。
■物語のアイデアと、それが生む面白さ
本作の中核は、「呪いは倒すのではなく、願いを叶えて終わらせる」という攻略ルールである。
呪いには、発生源となった願いや執着=「本懐」がある。力任せに呪具を壊すと、中の呪気が漏れて周囲へ感染し、より大きな災害を起こす。完全に解呪するには、呪いが起こす現象や残された資料から本懐を推理し、望みを遂げさせたうえで、呪核を失って暴走する残留呪気まで消し去らなければならない。
一つの事件の中で、以下の三段階の読者価値を作る。
①怪異の正体と本懐を探る、能力バトル型の謎解き
②「巨大な赤ん坊をママが抱く」など、ギャグにも感動にも振れる意外な本懐の成就
③理解して救ったあと、蓄積した呪気を灰人が圧倒的な必殺技で消し去る主人公無双
「相手の事情を理解して救う」という感情的な決着と、「最強の力で全てを斬る」というバトルの快感を、同じ解呪の前半と後半として両立できる。また、呪いを一つ終わらせるたびに灰人がその能力を再現できるようになるため、一話完結・章完結の満足と、主人公が成長していく連載上の期待が同時に積み上がる。
さらに、灰人自身は名声に興味がないのに、規格外の戦闘が探索配信で拡散され、E級という表示だけを残したまま世間の注目を集めていく。「本人だけが無自覚な実力開示」を、配信コメント、国家からの監視、上位探索者との対比によって繰り返し提供する。
■舞台設定・能力ルール
現代日本にはダンジョンが存在し、探索者は魔導武器を用いて魔物を討伐する。魔核の査定額とランクポイントが収入や等級へ直結するため、呪具で魔核を穢してしまう灰人は、どれほど強敵を倒してもE級から上がれない。
呪具は強力な性能と引き換えに、猛毒、激痛、暗闇、麻痺、くしゃみなど、固有の呪いを使用者へ与える。灰人は多数の呪いを受けながら活動でき、他人の呪いも自分へ移せる。
本懐を遂げた呪いは灰人へ吸収され、「呪式」として再現可能になる。過去に終わらせた《大入道の帯》で人を巨大化させ、《八咫烏》で黒い翼を生やすなど、解決した事件そのものが次の戦いの手札になる。ただし、新たな力を得るためには、灰人自身がその呪いを受け、本懐を遂げさせなければならない。
蓄積した呪いをベルゼラへ充填すると、灰人の呪いによるデバフが剥がれ、本来の戦闘力が一部発揮される。呪填20%でA級変異種を迷宮ごと斬り飛ばし、50%では巨大なベルゼラ剣によって東京湾を割る。数値による段階的な実力開示が、次の必殺技への期待を作る。
■第1巻・全5話のあらすじ
普通の武器が使えず、呪具で戦っても実績が認められないE級探索者・久世灰人は、苔の採取依頼で入ったダンジョンで、呪いに侵された元S級探索者・白峰澪と出会う。澪の呪気によって変異したA級ミノタウロスを、灰人は呪いの副作用すら戦闘へ組み込み、最後は呪填20%の「呪剣ベルゼラ」で迷宮ごと両断する。灰人の力に希望を見いだした澪は、失踪した姉を捜すため、彼へチーム結成を申し込む。
灰人の中から現れた少女姿の呪い・ベルゼラによって、澪の呪いが七大呪物に由来すると判明する。姉の捜索、澪の解呪、ベルゼラの本懐である「七大呪物の根絶」は同じ道につながっていた。澪は姉を追う覚悟を示し、自ら灰人へ口づけして呪いを預け、二人は正式にチームを組む。
直後、探索者ギルドで保管中の呪具が一斉に暴走する。灰人たちは、管理台帳から存在を消された七大呪物《返り児の鈴》が原因だと突き止める。だが、忠告を無視したS級探索者ゼルが鈴を核とする呪具集合体を力任せに両断。漏れ出した呪気はゼルを幼児退行させ、ギルドより巨大なぬいぐるみへ変貌する。
灰人は、その本懐が「もう一度ママに抱っこしてもらうこと」だと見抜く。母性の足りないベルゼラは投げ飛ばされるが、ギルド職員・御厨環が巨大化してぬいぐるみを抱き、「もう一人にしない」と子守唄を歌う。ぬいぐるみは「まま」と抱き返し、本懐を遂げる。最後は灰人が呪填50%の巨大ベルゼラ剣で暴走する呪気と東京湾を両断。《返り児の鈴》は「ありがとう」を残して消滅し、鈴のない小さなぬいぐるみ・まーもだけが残る。
戦闘映像は八十万人以上へ生配信され、謎のE級・灰人は一夜で災害級の存在として知られる。国家管理探索者となった灰人は、澪、環、ベルゼラ、まーもと共同生活を開始。澪も配信へ復帰し、作っていた「白騎士」の人格を捨て、灰人とのチーム結成を公表する。そこへ、失踪した姉らしき女性の映像と、「姉に会いたければ、第零封鎖迷宮へ来い」という匿名メッセージが届く。映像の壁には、第二の七大呪物を示す紋様が刻まれていた。
■各話のヤマとヒキ
第1話
ヤマ:角ウサギに苦戦していたE級の灰人が、呪いの副作用を利用してA級変異種と渡り合い、呪填20%で迷宮ごと斬る
ヒキ:元S級の澪が「あたしとチームを組んで」と申し込む
第2話
ヤマ:ベルゼラ登場。本懐と七大呪物の提示。澪が自分から灰人へ口づけし、姉を追う覚悟を示す
ヒキ:ギルドの呪具が一斉暴走し、ベルゼラが「一個目ですね」と告げる
第3話
ヤマ:澪の白騎士としての復帰戦。灰人の呪いオタク側面が呪いの本懐のヒントをつかむ。
ヒキ:灰人が「お前の本懐、わかったよ」。巨大ぬいぐるみの登場。
第4話
ヤマ:「バブみが足りない」というギャグから、環と呪物の母子の抱擁へ転換。最後は呪填50%で東京湾を斬る
ヒキ:第一の七大呪物を解呪する一方、謎の組織が灰人を「ベルゼラの器」と特定する
第5話
ヤマ:共同生活と配信再開。澪が「白騎士」の演技を捨て、素の自分で灰人とのチームを宣言する。その過程で灰人の実力の公開承認。
ヒキ:失踪した姉の映像と、第二の七大呪物が待つ第零封鎖迷宮への招待
第1巻では、灰人と澪の出会いからチーム結成、第一の七大呪物の完全解呪、灰人の実力が世間へ露見するところまでを描く。第4話で東京湾を割る最大のヤマと一章の決着を作り、第5話で共同生活と配信という日常の連載軸を確立。最後に、澪の姉と第二の七大呪物を結びつけ、次巻の明確な目的を提示する。
■サブキャラクター
御厨環
探索者ギルドの職員で、灰人へ低級呪具の解呪を斡旋してきた年上の理解者。包容力によって《返り児の鈴》の母親役を果たす一方、災害級と認定された灰人の身元を自ら保証し、国家と交渉して処分を回避する。母性的な承認型サブヒロイン、コメディ要員、組織内で強い信用と権限を持つ有能人物要員。共同生活ではチームの管理者、保護者、情報担当となる。
まーも
《返り児の鈴》を解呪したあとに残った、鈴のない小さなぬいぐるみ。「まーも」とだけ鳴き、いつも必死な顔でぷるぷる震えている。凶悪な呪いにも救われたあとがあることを視覚化する存在であり、共同生活のマスコットとなる。
謎の組織
ギルドの管理台帳から《返り児の鈴》の登録を消し、暴走事件を裏で監視していた勢力。ベルゼラを捜しており、灰人を「ベルゼラの器」と呼ぶ。澪の姉らしき映像を使って一行を第零封鎖迷宮へ誘導し、七大呪物、姉の失踪、ベルゼラの正体を結ぶ縦軸を担う。
■連載展開
基本構成は、七大呪物一体につき一つの中~長編章とする。怪事件の発生、呪いとの戦闘、来歴の調査、本懐の推理、意外な方法による成就、残留呪気との最終決戦までを一章の流れにする。本懐は切実なものだけでなく、滑稽、身勝手、恐ろしいものまで変化させ、毎章異なる攻略と読後感を作る。
事件を終えるたび、灰人は新しい呪式を獲得する。前章で救った呪いが次章の攻略に使われることで、エピソードの蓄積を戦闘の成長として見せる。同時に、E級表示のまま強さだけが世界へ知られ、上位探索者、視聴者、探索庁、敵組織からの評価が変化していく逆転無双を継続する。
日常では、灰人、澪、環、ベルゼラ、まーもの共同生活と探索配信を描く。呪いを移すための身体接触を入口に、澪は灰人へ惹かれていくが、灰人は恋愛より呪いを優先する。澪の好意、ベルゼラの嫉妬、環のからかいによって、事件の合間にもラブコメとキャラクター同士の関係進展を作る。
長期の縦軸では、七大呪物を終わらせるほど灰人の力が増す一方、国と敵組織の双方から危険視されていく。澪の姉はなぜ七年間も迷宮から戻らず、七大呪物とともに現れたのか。ベルゼラはなぜ七大呪物の根絶を望み、灰人はなぜその「器」なのか。各章の解呪と並行して謎を開示し、最終的に七大呪物を全て“きちんと終わらせ”、姉の失踪とベルゼラの正体へ決着をつける。