あらすじ

抗い難い絶望を前に、人々はかの存在を求める。  それは人類の希望。窮地に立たされた人類の切り札。  ――勇者。  そう認められた者はこの世界(ティエラス)の長い歴史を振り返っても、片手で数えられる程の人数しかいない。  ある騎士は世界を滅ぼしかねない海龍と相対し、ある愚者は大迷宮に巣食う世界の疾患を取り除いた。  彼ら、あるいは彼女らは自らの手で、魂の奥底で燃える感情が決して蛮勇などではないことを証明してきた。  しかし、世界に蔓延る悪意に終わりはなく、運命は残酷なほど変わる兆しを見せない。  神が異世界からその者を呼び出したのは、神もかの存在に希望を見出したからだ。 「なぜ、私はこんな世界に来てしまったんだ……」  だが、それは彼にとってあまりにも無慈悲で、あまりにも残酷だった。  望まぬ召喚は拒むことができず、彼の平穏な日々は唐突に終わりを迎えた。  勇者としての役目を終えた今でも、神は彼を送還することはなく、彼は自力で世界を渡る方法を探し続けている。  三十年以上の年月が過ぎ、すっかり年老いてしまっても、想いは変わらない。  彼の願いはただ一つ。 「私は必ず、家族のもとに帰る……必ずだ!」  彼が一人の少年と出会う時、不屈の勇者は最後の使命を全うするだろう。

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カクヨム
カクヨム2026/08/29
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